きみは、ほんとうは、いい子なんだよ!

5月2日(水)の夜に、黒柳徹子さん「窓ぎわのトットちゃん」を読了して、久しぶりに大号泣。

おかげで翌朝は、目が腫れまくりでした。 

この本、1981年に発売されてからというもの、今でも老若男女問わず読まれていて、日本国内で「戦後最大のベストセラー」と言われている本らしいです。

この本の存在はずっと知っていたものの、なぜか「読んでみよう!」という気に今までならずにここまで来てしまっていました。今このタイミングで読んでみよう、と思ったのもなんかあるんでしょうね。

読んだことのない方のために、本の内容はamazonによるとこんな感じです。

 

「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ!」。小林宗作先生は、トットちゃんを見かけると、いつもそういつた。「そうです。私は、いい子です!」 そのたびにトットちゃんは、ニッコリして、とびはねながら答えた。――トモエ学園のユニークな教育とそこに学ぶ子供たちをいきいきと描いた感動の名作。

 

この、小林先生の「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ!」という言葉が出てくるたびに涙が止まりませんでした。

人が泣くときって意味があるらしいんです。

よく、「涙は心の汗」と言われますよね。私はもともとあまり泣いたりしない人間だったので、「『心の汗』って単純に『感動する』って意味で使われてるんだろうな」という浅いレベルでの理解しかしていませんでした。

でもここ最近、自分の内面に正面から向き合うようになってからというもの、「インナーチャイルド」や「前世」、「魂」というようなことについて考えることが増えて、インナーチャイルドや前世に関係することに心が触れると、人間って泣くのではないかと思い始めたんです。

今回は、確実に私のインナーチャイルドが泣いていました。

 

私は、小さい時、よく「変わってるね」、「面白いね」と周りから言われていたのですが、実際のところ、トットちゃんほど「変な」子ではなかったと思います。

学校や家族関係を通じて、日本社会で許容されるレベルまでに私の個性は曲げられて育てられたんだろうと思います。社会に受け入れられないほどの「変な子」にならないように。

私自身がそんな感じに育ったばかりに、学校や家庭で個性をそのまま受け入れられながら育っているトットちゃんを見て、私の心は汗をかいたんでしょうね。

トットちゃんのお母さんは、トットちゃんが委縮しないように、娘のすることを否定することなく、基本的に全てを受け入れて育ててきたというのが物語からとてもよく伝わってきました。

 

自分もトットちゃんみたいに自由に育てられたかったと思ったのに加えて、この物語を読んで感じたのは、この物語にでてくる実在の人物たちの行動力というか自由に生きている素晴らしさです。

トットちゃんの通うトモエ学園の校長先生の小林宗作(そうさく)先生は、実在の教育者で、ヨーロッパ(スイス、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス)で幼児へのリズム音楽教育を学び、帰国後にリトミックをベースにした幼小一貫のトモエ学園を運営されていた方だそうです。戦中、戦間期の日本では、リズム教育をベースにした学校は皆無だったであろう中で、そのような新しいことをご自身のイニシアティブではじめられた方。

 また、小林先生に影響を与えた石井獏さんもヨーロッパやアメリカで現代舞踊を研究した人で、小林先生がトモエ学園を始める後押しをした方のようです。戦中、戦間期に「モダンダンス」の先駆者となり、日本での「新しい舞踏」の先駆けとなった方とのこと。

 

実のところリトミック教育を私も幼稚園で受けているので、ちょっと調べてみました。リトミックは、スイスの音楽教育家であるエミール・ジャック=ダルクローズによってはじめられたものらしく、日本にも「日本ジャック=ダルクローズ協会」なるものがあるようです。

その協会のHPによると、リトミックとは・・

 

リトミックは、スイスの作曲家、音楽教育家である エミール・ジャック=ダルクローズ(1865年~1950年)によって創られた、音楽を総合的にそして合理的に学ぶための音楽教育法です。

 

全身を使って音楽を動きで表現するリトミックと、音楽を聴く耳を育てるソルフェージュ、即興演奏を組み合わせ、音楽の諸要素を体験する事を教育法の原点に置き、音楽理解を深め、動きによって得た筋肉感覚を生かし、その積み重ねにより自己を開放し、磨かれた感性をもとに、自己音楽表現を可能にする事がこの教育法の目的です。

 

リトミックは、大変柔軟で多面的である為に、音楽教育の分野に留まらず、一般教育(特に幼児教育)表現活動(演劇、オペラ、ダンス等)音楽療法等、多岐にわたり影響を及ぼします。とりわけ聴感覚は脳の成長に大変大きな影響がある事が生理学的にも実証されており幼児期にリトミックのレッスンを受け、 身体と聴覚を育てる事は、幼児の成長に非常に大切な事です。

 

ダルクローズが自分の教育法を説明するように頼まれた時、彼は、「ある生徒がレッスンで得た印象と成果を基に、リトミックの意義を説明する事はたやすい事だが、 より深いリトミックの理解の為には、自身がレッスンを通してリトミックを体験する事が不可欠である」と言っています。

 

www.j-dalcroze-society.com

 

 

幼稚園生の時はもちろんリトミックとは何ぞやということがわかっていたわけもなく、「なんかカタカナの名前の授業で、音楽に合わせて体を動かすやつ」というぐらいの漠然とした認識でしかいませんでしたが、今こうやってその意味を考えると「そうだったのかー」と納得できました。

この物語を読んで、自分の感動ポイントを整理してみると、「自由」と「自分の感性を信じて、社会のレールに乗っからずに生きてる人」と言えるかもしれません。

私も自分のインナーチャイルドを癒しつつ、自分らしく自由に楽しく生きられるよう方向付けをこれからも続けていこう、という思いがより一層強くなりました。